幼児期の教育が、地頭を鍛える
幼稚園受験に求められるものは、親自身の教育方針でもある。
難関である付属幼稚園を受験する一番大きなメリットは、教育理念がしっかりしている点でしょう。
一般の幼稚園でも、もちろん子どもの成長をどのように助けるかを考えていますが、それは初等教育の入り口までが一般的です。
子どもに自立して自分の道を切り開いて欲しいと希望するなら、幼稚園受験でエスカレーターに乗ってしまうのはデメリットになってしまい、受験を最小限で早期に済ませ、芸術やスポーツの才能を伸ばしてほしい場合の幼稚園受験は、とてもメリットが感じられるでしょう。
幼稚園受験というのは乳児からの成長を確認する機会ととらえることが大切で、実際の入園試験は特殊で、ペーパーテスト・個別テストや行動観察を通じて、社会性・協調性・積極性などが審査されます。
これらは一朝一夕で身につくものではなく、ご家庭での教育方針、保護者の方の生き方や姿勢を問われています。
中学とか高校の受験だと子供の意志があると思いますが、幼稚園は子供のための受験である一方で、親のための受験でもあるのです。
幼稚園受験に限らず、人として本当に頭が良い人は、地頭力(問題解決など)やコミュニケーション能力(人間関係)が優れているとされ、社会に出てとても大切なことです。
地頭力 「じあたまりょく」と読みます。
心理学から経済学など、幅広い解釈をされている言葉です。
「知識がなくても自分の頭で回答にいたる筋道を考えていける人」「答えのない問題を解いていく力」「知的好奇心の有効活用」「問題解決に必要となる考え方のベースとなる能力」として用いられる言葉です。
時代が激しく変化する中で、学歴や資格ばかりが評価された一昔前とは異なり、企業や社会が求める能力も大きく変わりつつあります。
頭の回転が早く論理的な考え方ができる、即座に状況判断ができる、発想力が優れているなど、「地頭のよさ」が注目され、実社会で活躍して成功するための能力が評価されるようになりました。
文部科学省の新学習指導要領は、「ゆとり」や「詰め込み」ではない、「生きる力」を育むという理念に基づいています。
思考力・判断力・表現力などの育成を重視するという内容で、知識や技能の習得とともに人間としての賢さ(コミュニケーション能力が高い、バランス感覚など)に焦点を当てているので、地頭力を鍛えることにほかなりません。
幼児期の適切な教育によって地頭が鍛えられることが科学的に証明されており、お子さまをお持ちの多くの方々が高い関心を寄せています。
「自分力」を身につけよう!
「じぶん力」の原動力は何よりも「やりたい」と思う意欲
「じぶん力」を育むためにいちばん大切なのは自らやりたいと思う意欲なのですが、子どもたちの「やる気」は年々低下していく傾向にあり、学びへの興味や好奇心が持てなくなっていることが問題視されています。
お手伝いをしたがる子に対して、自分の忙しさから「また後で!」って子ども自身が取り組む機会を奪ったりしていないでしょうか?
もちろん、急いでいる時にすべて子どもの要求を聞く必要はなく、子どもが理解できるようにできない理由を説明し、後でやると決めたら絶対子どもとの約束は守ってください。
親のその場限りの言葉が、子どものやる気をなくす原因となり、そのうち興味がなくなるのです。
幼児期にこそ伸ばしたい「じぶん力」
「やる気」を引き出してあげるのは、結果ではなくてどのように興味をもち体験をし、そのプロセスや子どもの達成感を大切にしてあげることです。
「いい感じ」を積み重ね!
脳科学者 篠原菊紀氏のお話です。
私が納得したのが、その中の「やる気のメカニズム」。「がんばれ、がんばれ」といくら叱咤しても、幼児の意欲は育たない。「やる気」には脳の奥にある線条体という部位がかかわっており、無意識化した技が関係しているといいます。
例えば、自転車に乗れなかった子どもが、何度かチャレンジしていくうちに、たまにうまく乗れた、その「いい感じ」を積み重ねて、本当に乗れる確率を上げていくといいます。このうまくいった動作や手順には、「いい感じ」というタグが貼られていき、次にチャレンジする時には、無意識だが、これを手掛かりにうまくいった動作や行動の手順が呼び起こされるというのです。やる気の正体とは、この「いい感じ」、つまりいろんな動作にできるだけ「快」のタグをたくさん貼ることだと教わりました。